POSレジを導入する際に気になるのが、そのネット環境。POSレジや周辺機器をどうインターネットへ接続するのか、よく分からず不安を抱えている方も多いでしょう。
POSレジを導入しようと考えている。POSレジのネット環境は何を使えばよく、どう準備したらよいのだろうか。費用も把握しておきたい。
こういった経営者、担当者の方へ向けて、POSレジを導入する際のネット環境について、
を解説します。新規にネット環境を準備する方はもちろん、既にネット環境がある方もPOSレジの導入に際しては、ぜひ一度目を通してみてください。
(今回は、大型のターミナルPOSレジではなく、タブレット等で使うクラウド型のPOSレジを前提として、解説していきます。)
POSレジに最適なネット環境とは?
POSレジに最適なネット環境は、ずばり次のようなものです。
- 安定していて、切断されることがない
- 通信速度が速い
ネット環境の条件1:安定していて、切断されることがない
ネット環境の安定性は最も重要です。POSレジは、売上データや在庫情報をインターネットを経由して、POSレジサービスのサーバーに保存したり、最新の情報に更新したりします。
お客さんが商品を購入するとき、新しく在庫が入ったときなどに最新のデータを扱うためには、POSレジが常にインターネットに接続されている必要があります。インターネットに接続できないと、最新の売上を分析できない、在庫にずれが生じる原因になってしまいます。
そのためには、ネット環境が安定しており、POSレジがネットにつながらないということがない環境を整備しなければなりません。
ネット環境の条件2:通信速度が速い
通信速度が速いことも大切です。
通信速度の速いネット環境があれば、POSレジ端末とデータが保管されるサーバー間の通信がスムーズに行なえます。会計そのものも手早く進められるので、お客さんとお店の双方にとって便利です。
しかし、ネット環境の通信速度が遅いと、POSレジの反応も遅くなり、レジ操作のストレスが大きくなるのはもちろん、1会計にかかる時間も増えてしまいます。
1会計にかかる時間が増えてしまう以外にも、ボタンを押してからの反応が遅いと、間違えて2重に会計してしまうなど、予期せぬトラブルにも繋がりかねません。
POSレジを有効活用して業務を快適にするためには、通信速度の速いネット環境が必須なのです。
POSレジのネット環境に光回線がおすすめな理由
以上の「POSレジに最適なネット環境」には、光回線を使うのがおすすめです。
なぜ光回線が良いのでしょうか、その理由はやはり通信速度が速く、安定した通信が行えるからです。
光回線は通信速度が速い
光回線はその名の通り「光」を用いて通信します。そのため、通信速度がADSLや4GLTEなどと比べ、非常に速くなっています。
スマホの回線である4GLTEでは100Mbpsほどの通信速度しか出ませんが、光回線は最大速度が1000Mbps(=1Gbps)であることが多く、他の通信方法よりも遥かに速いスピードを出すことができます。
先にも述べたとおり、通信速度が速いと、POSレジのデータの送受信に時間がかからず、ストレスなく会計を進められます。 それだけでなく、POSレジの反応が遅いことによる二重入力等の心配もありません。
安定した通信が行える
光回線の通信は非常に安定しています。一般にスマホの回線では、単純に同一エリアにいる人数が多いと混雑して、通信速度が低下します。
光回線は、そもそも光ファイバーケーブルでインターネットに接続されているため、そういった影響を受けません。
ネット利用者の多い夜間は混雑しやすいという特徴はありますが、それでもケーブルで接続されている上、そもそもの通信速度が速いため、安定して使うことができるのです。
光回線ならWi-Fiも快適に使える
以上が、POSレジのネット環境には光回線が最適な理由でした。ただ、お読みになった方の中には、
「POSレジが実際に接続するのは、Wi-Fiのはずだ。どうなってるんだ。」
と思われた方もいるでしょう。
たしかにiPad等で使うPOSレジは、Wi-Fiを通してインターネットに接続します。けれども、そのWi-Fiの手前は光回線であることが普通です。
つまり、POSレジが接続するWi-Fiの通信速度・安定性は、その手前の光回線に依存している部分が大きくなっています。そのため、末端がWi-Fiであっても、ネット環境には光回線が良いでしょう。
移動型店舗・臨時店舗のネット環境はどうする?
ここまでは「POSレジのネット環境は光回線がいいですよ」というお話でした。とはいえ、
- キッチンカーなど移動型の店舗を経営している
- イベントに臨時店舗を設けることがある
ような場合は、光回線を用意することができません。そういった場合はどうネット環境を用意すればよいのでしょうか?方法は2つあります。
モバイルWi-Fi・スマホからテザリング
1つ目の方法は、モバイルWi-Fiを使ったり、スマホからテザリングすることで簡易的なWi-Fi環境を用意する方法です。
必ずしも高速・安定ではありませんが、比較的安価に手軽に用意できる点がメリットです。モバイルWi-Fiであれば、1日数百円〜・1ヶ月4千円~で調達できます。
SIMカードをPOSレジの端末に入れる
2つ目の方法は、SIMカードをPOSレジの端末(iPadなど)に入れて、POSレジの端末を直接4G・5G回線に接続する方法です。
Cellularモデルと呼ばれるiPadをお持ちであれば、格安SIM等を契約して送られてくるSIMカードをiPadに入れることで、すぐにPOSレジをインターネットに接続できます。
仕組みはスマホと同じなのでわかりやすいですが、SIMカード非対応のタブレット端末の場合この方法は使えません。また、POSレジの数だけ契約が必要、というデメリットもあります。
そもそもオフラインで使うという手も
ネット環境を用意できない、用意するのが難しい場合は、そもそもPOSレジをオフラインで使うという手もなくはありません。
オフラインでも基本的な会計はできますし、後から売上データを送信することが可能です。「オフライン機能」については、以下の記事で詳しく解説しました。
POSレジに最適なネット環境の準備方法
最後に、POSレジに最適なネット環境、つまり光回線のインターネット接続環境を準備する方法を解説します。
POSレジの場合も、家庭などに光回線を引く際と似た流れになっており、
- 通信事業者と契約
- 回線工事
- 機器の設置
- POSレジの接続
という順番でネット環境の準備をすすめることができます。
POSレジのネット環境準備①:通信事業者と契約
まずは、通信事業者と契約しなければなりません。
光回線であり、通信容量に上限がなく、最大速度が1Gbps以上のプランであれば、どの業者を利用しても問題ありません。
NTTのフレッツ光が有名ですが、フレッツ光の再販である光コラボレーションやKDDIなどを利用しても大丈夫です。月額6千円〜が相場です。
POSレジのネット環境準備②:回線工事
通信事業者と契約した後は、回線工事をしなければなりません。既にお店に光回線が通っていれば、工事が必要ないこともあります。
回線工事の詳細は、通信事業者との契約時もしくは契約後に知らされます。一般的に立ち会いが求められます。
POSレジのネット環境準備③:機器の設置
多くの場合、回線工事と同時に、ONU(光信号を電気信号に変換する装置)やルーター(インターネットに接続する装置)も専門業者が設置します。
Wi-Fiが必要な場合に限り、Wi-Fiルーターを自分で設置しなければなりません。Amazon等で調達しても、POSレジサービスの会社経由で購入してもどちらでもOKです。
POSレジのネット環境準備④:POSレジの接続
ここまで準備が整ったら、最後はPOSレジを接続するだけです。iPadなどタブレット端末で使うPOSレジの場合は、設置したWi-Fiに端末を接続しましょう。
これでPOSレジのネット環境の準備は完了です。今回は、POSレジに最適なネット環境についてご紹介しました。POSレジの能力を最大限に活用するには、安定・高速なネット環境が不可欠です。
ネット周りの機器費用も含めたPOSレジの導入費用は、こちらの記事で解説しました。ぜひよいネット環境を準備しながら、POSレジの導入を進めてみてください。